指導案・教材・YouTube動画
1.授業の概要
2026年7月14日(火),北海道内の小学校7校7学級,計68名が参加し,「北海道DCC企画」の第3回授業が実施されました。
今回の授業のテーマは,「水はどこから:もしもダムや浄水場が動かなくなったら・・・どうなる北海道!?」でした。本授業では,参加校の市町の水道料金(「上水」に限定)が異なる理由を探るとともに,ダムや浄水場の公共的な役割(利水や治水)を考えながら,持続可能な地域社会のために水を使う責任について交流しました。
授業の全体進行は北海道教育大学釧路校の玉井慎也講師,各教室の進行は各学級の担任が務めました。また,釧路市上下水道部の水道料金関係者,釧路建設管理部の庶路ダム関係者,釧路市愛国浄水場の関係者に専門家としてゲスト出演いただきました。御礼申し上げます。
2.導入:みんなのまちの水道料金は高い?安い?
導入では,事前アンケート結果の共有から始めました。その後,参加校の市町村の水道料金を比較し,水道料金が0円(無料)の東川町,北海道で1番水道料金の高い夕張市,最近水道料金を値上げした釧路市の水道料金を予想しました。
• (標津小)東川町2100円、釧路市が4891円、夕張市が6425円
• (白糠学園)東川町100円、夕張市が1万5000円
•(関内小)東川町は2000円,釧路市は6000円,夕張市は1万円
•(古丹別小)東川町は1750円,夕張市は6500円
•(香深井小)東川町1100円、釧路市は3000円、夕張市8700円
•(仙法志小)東川町2500円,釧路市は5000円,夕張市は6600円
続けて,「水道料金は無料がいい!という人がいたら,賛成?反対?」という内容のアンケート①に答えました。アンケート①の結果は,賛成派(無料派)が7割ほどを占めることが確認されました。




アンケート結果を共有した後は,水道料金を比較する中で生じた疑問や予想を各学級で練り合い,釧路市上下水道部の北さんにインタビューしました。


•(白糠学園)なんで地域によって水道料金は違うんですか?
→「地形」や水源の「位置」が関係しているかもしれない!
•(関内小)水道料金はどうやって決めていますか?
→釧路市では令和8年度から4年間で使う水の量や工事しないといけない場所を計画して,どれくらいの水道料金がないといけないかを決めているよ。
•(茶路小)北海道の全体の水道料金は?
→4279円です。他の都道府県と比べると46番目に高いよ。
•(古丹別小)なぜ東川町は水道料金が0円なの?
→東川町は地下水を引いて各家庭に井戸があるから「上水」は無料なんだって!
• (仙法志小)利尻も地下水ですが有料です!東川町との違いは何ですか?
→地下水を引いているのは同じだけど,「簡易水道」という施設・仕組みがあるので,有料なんだって!
• (標津小)なんで釧路市では水道料金は値上げしたの?
→理由は大きく2つです。1つ目は,将来のことを考えて,古くなった浄水場や水道管を直したり新しくしたりするためです。2つ目は,人口がどんどん減って水道局に入るお金が減っているからです。
その後,「水道局以外に,みんなが毎日使う水をつくる・守る仕事はあるかな?」という問いを投げかけ,各学級で関係する仕事や場所について確認した上で,本時の学習課題「もしもダムや浄水場が動かなくなったら・・・どうなる北海道!?」が提示されました。
3.展開1:ダムにはどんな役割がある?もしもの時は?
展開1では,白糠町にある庶路ダムの役割について探究しました。児童は,「ダムにはどんな役割があるのか」「もしもの時に備えて何をしているのか」について仮説を立て,仮説が本当なのか釧路建設管理部の宮村さんにインタビューしました。

•(標津小)北海道にはダムが190個近くあるが、ダムがなくなると生活はどうなる?
→大雨が降ったときの洪水を防ぐことができなくなったり,飲み水や掃除に使う水も町に送ることができなくなったりしちゃうよ。
•(茶路小)ダムが無くなったら飲み水が無くなり、トイレができなかったり、手も洗えなくなったりする?
→例えば夏に雨が全然降らないと,水がダムにたまらないので,町に「安定」して水を送ることができなくなっちゃう。
•(古丹別小)ダムが無くなると農業ができなくなり、野菜も食べられなくなる?
→ダムの水が農業にも使われていることを小学4年生で知っていることに驚きました!ダムでためた水は,大きな農地に送られていることもあるよ。
その後,宮村さんからは,庶路ダムの役割として,①釧白工業団地へ水を送る「利水」,②庶路川の氾濫を防いだり周辺の動植物の生態系を守ったりする「治水」という2つのキーワードが提示されました。
4.展開2:浄水場にはどんな役割がある?もしも動かなくなったら?
展開2では,「もしも浄水場が動かなくなったら,どうなる?」という問いかけから始まり,浄水場の役割について探究しました。
オンライン生中継で釧路市にある愛国浄水場の中を見学し,薬品を使って小さな汚れを集める「凝集沈殿池」,目に見えない小さな汚れを砂を通して取り除いたり薬品を入れて消毒したりする「ろ過地」,万が一異常があった時に知らせてくれる「メダカの水槽」,3日に1度決まった時間に洗浄する「逆洗浄」などによって,私たちに安心安全な水を届けていることを学びました。その後,児童は気になったことや聞いてみたいことを釧路市愛国浄水場の加地さんにインタビューしました。
•(白糠学園)ろ過して残ったゴミはどのように処理するのですか?
→再利用しています。汚泥処理場という場所で泥を固めて「脱水ケーキ」と呼ばれる状態にし,釧路市内の山に運んで緑を育てるための材料にするよ。
•(関内小)異常があった時の水はどうするのですか?
•(茶路小)メダカが死んでしまった場合どうするのか?
→すぐに送り出している水を止めて,原因を見つけるよ。安全が確認できたら,再び水を作り,送り出します。
•(古丹別小)なぜ古丹別の浄水場よりも、釧路市の浄水場の方が大きいのか?
→人口が多いまちは,たくさん水を作らないといけないので,浄水場も広い・大きいよ。


5.終結:水道料金は,なぜ有料なの?私たちにできることはある?
終結では,本時で学んだことを通して,改めて「水道料金は無料がいい!という人がいたら,賛成?反対?」というアンケート②に答えました。アンケート②の結果は,導入時のアンケート①と比べて,賛成派(無料派)が6割ほど,反対派(有料派)が4割ほどと,反対派(有料派)の割合が高くなったことが確認されました。

アンケート②の結果を踏まえて,「反対派(有料派)の立場になって考えると,どのような理由になりそうか」という問いを各教室で交流した後,代表して白糠学園の児童が意見を発表しました。
•(白糠学園)水をきれいにすることは大変なのに,無料なのはおかしいと思ったから。
時間の関係で全ての学校の意見を確認することはできませんでしたが,各教室ではダムや浄水場の役割について学習した成果を用いて,ダムや浄水場があることによって,安心安全な水が届けられていること,そのためには公共料金の水道料金をみんなで納めていかないといけないことについて表現できていたようです。
授業の最後には,参加していただいたゲストの方からコメントをいただき,授業を閉じました。
•(愛国浄水場の加地さん)
→いつでもきれいな水を届けるためにどうするかを考えているよ!みんなも水を大切に使ってね!
•(釧路建設管理部の宮村さん)
→みなさんの生活に関係する水を直接送っているわけではないけど,私たちの仕事につながっていることを覚えていてほしいな!
•(釧路市上下水道部の北さん)
→みんなの世代や次の世代にも,水道というライフラインをつなげていきたいです!
授業実施者Ch1:玉井慎也(北海道教育大学釧路校)
授業実施者(各学級):各学校の授業担当教員
愛国浄水場からの中継:大戸玲穂(北海道教育大学釧路校)
ゲスト:加地様(愛国浄水場),北様(釧路市上下水道部)宮村様(釧路建設管理部)
学校技術支援担当(北海道内小学校):牛田啓太,近藤璃空,廣岡咲彩,牧野帆乃夏,山瀬美結(北海道教育大学釧路校)
事務局機器担当(北海道教育大学釧路校):石澤大季,大嶋和希,佐々島忠佳(北海道教育大学釧路校)
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