概要
2024年8月8日,東広島市内の小学校に在籍する児童4名が参加する「広域交流型オンライン学習夏休み版・発展企画「大学の先生や学生と一緒に社会科自由研究をしてみませんか?」」を実施しました。これは,東広島市の地域テーマを題材に,3回にわたって子どもたちの夏休みの自由研究を,大学教員と大学院生がサポートする企画です。
最終回となる今回は,自由研究の成果発表会を行いました。
最終回の目標をみんなで確認
はじめに,草原先生より最終回となる第3回の目標が確認されました。これまでに,参加者が自らの自由研究の問いを設定し,チーム(外国人市民チーム・のんバスチーム)に分かれてインタビューやアンケートなど,フィールドに赴いた調査研究を進めています。今回は,これまでの総まとめとして,自由研究の成果発表会を行うことが全体で共有されました。
成果報告に向けた準備をすすめる
その後,参加者ごとに成果発表会に向けた準備が進められました。すでに,研究成果を文章でまとめており,発表時間内で研究成果の要点を確実に伝えるための発表練習に注力する参加者やインタビューやアンケートの結果を図表に整理するなどして,視覚的に分かりやすくまとめる参加者,自由研究の結果・考察を踏まえた最終提言を考える参加者など,それぞれが発表に向けて最終調整を進めました。
外国人市民チームの成果発表
いよいよ,成果発表会です。一人10分で発表します。
外国人市民チームからは2名の発表がありました。
Aさんは「東広島市の外国人市民はなぜ多いのか?」という問いを立て,東広島市の施策や外国人市民に関する統計データを中心に情報を整理・分析しました。Aさんは,個別に東広島市役所の市民生活課を訪問して,直接関係部署の方にインタビューを行いました。このような調査の結果,市の政策として大学や企業が外国人市民を多く受け入れてきており,結果として外国人市民の増加につながっていることを発見しました。
Bさんは「日本語が話せない外国人市民はどうやって困ったことを解決しているのか?」という問いのもと,アフリカからやってきた留学生(外国人市民)と実際に外国人市民の相談にのっている支援員の方へのインタビュー調査を実施しました。Bさんは,インタビューの質疑応答を丁寧に整理するとともに,実際に訪れた相談場所(サンスクエア東広島のコミュニケーションコーナー)の工夫や展示から,お困りごとの解決方策をまとめていました。
のんバスチームの成果発表
のんバスチームは2名が「のんバスはこのままでよいのか?」を共通の問いとして設定し,共同で発表しました。
Cさんは「なぜのんバスは赤字なのに走り続けているのか?」という疑問から,もっと朝早くからバスを走らせたり,無人バスにしたり,料金を乗車距離によって変更(値上げ)したりすることが必要ではないかと考えました。実際にアンケートでまちの人の声を聞いた結果,始発を早めることと無人バスの運行開始には多くの回答者が賛意を示したものの,実際には運転手不足の課題や無人運転が実用段階にないことから、その実現が簡単ではないことが明らかとなりました。
Dさんは「なぜのんバスは乗客が見込めそうな広島大学や寺家周辺まで行かないのか?」という疑問から,市役所の関係部署の方へインタビュー調査をしたり,のんバスのルートに関する市民の方へ街角アンケートを実施したりしました。広大周辺へのルート変更に対する支持は多かったものの、寺家方面への運行にはそこまでのニーズがないことがアンケート結果から明らかになりました。さらに、寺家周辺は渋滞のため定時運行が難しいことが明らかになりました。以上のことからDさんは,新たなのんバスルートを開設し,西条―広島大学間を結ぶのんバス2号の運行開始を提案しています。
成果報告へのコメント:専門家から
参加者の一生懸命な自由研究の成果報告を受けて,研究をサポートした専門家からフィードバックを受けました。
外国人市民チームのインタビューに協力したサンスクエア東広島の吉野さんからは,丁寧に分かったことや考えたことをまとめた二人の発表を受けて「短期間でよくここまでまとめましたね!」とお褒めの言葉をいただきました。のんバスチームのインタビューに協力した東広島市役所の石橋さんからは,二人の具体的な提案を受けて,「重要な意見なので検討する必要がある」と前向きなコメントをいただきました。
その他,3回にわたって研究をサポートした広島大学の教員からは「これで研究を終わりにせず,これからも主体的に探究し続けてほしい」との希望や「一緒にフィールドワークをしたことで,自分自身も多くの気づきがあった」,「聞き手を意識したわかりやすい資料作成と発表ができていた」などのコメントがあげられました。
夏休み企画に参加した子どもたちの感想
今回の夏休みの自由研究企画に参加した子どもたちからは,次のような感想が寄せられました。
「最初は緊張していたけど,だんだん慣れて次もやりたいと思うようになった!」
「いろんな人にインタビューすることができて,インタビューの大切さを知った」
「最初はのんバスのことばかりを調べていたけど,バスに関係する人や社会のことにも目を向けるようになった」
「新しい友達もできたし,友達と研究の問いがつながっていることがわかった」
みんな笑顔で修了証授与!
その後,修了証授与式を行いました。みんなで全力になって取り組んだ自由研究。修了証を受け取る際の,とっても嬉しそうで誇らしそうな表情が印象的でした。
広域交流型オンライン学習では初の試みとなる,夏休みの特別企画も無事に終了しました。来年度はさらに充実した企画を実施できるよう計画してまいります。楽しみにお待ちください。
EVRIではこれからも,多様な他者と出会い,対話し,地域社会の課題について考究する公共空間をデザインしてまいります。
参加した子どもたちで集合写真をパシャリ!
のんバスチーム:草原和博,宇ノ木啓太,神田颯
外国人市民チーム:川口広美,金鍾成,三井成宗,川本吉太郎,𠮷田純太郎
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
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