概要
2025年12月12日、広島県の東広島市立龍王小学校・広島市立基町小学校、北海道の奥尻町立奥尻小学校、熊本県の南阿蘇村立久木野小学校、鹿児島県の徳之島町立尾母小学校の全5校・小学校5~6年生の計58名が参加し、広域交流型オンライン平和学習を実施しました。本授業は、各学校の平和学習の成果をオンラインで発表・交流することを通して、全国の平和学習の内容を比較し、共通する特徴を理解することを目的として実施されました。
授業の全体進行は、広島大学の三井成宗特任助教と川本吉太郎特任助教が担当し、広島大学EVRI・SIP運営オフィスのスタッフが運営を支援しました。
導入:本時の目標を確認しよう!
はじめに、三井特任助教と川本特任助教より、本授業の目標として「各学校でどのような平和学習を行ったのかについて発表・交流すること」が確認されました。その後、じゃんけんにより発表順番を決めて、楽しく交流がスタートしました。


展開1:全国の学校はどんな平和学習をしているんだろう?
発表は、久木野小学校→奥尻小学校→基町小学校→尾母小学校の順に行いました。
はじめに、久木野小学校の児童が平和学習の成果を発表しました。修学旅行で長崎原爆資料館や永井隆記念館を訪れたことや、地元の被爆体験者の講話を聴くことを通して、感じたことや考えたことを発表しました。これに対し、龍王小学校の児童より「原爆投下は、その後の長崎にどのような影響を与えたのだろう?」という質問がなされました。
次に、奥尻小学校の児童が、奥尻島で語り継がれている「戦争と平和」について学習したことを発表しました。加えて、第1回・第2回の広域交流型オンライン平和学習に参加して得られた学びについても共有しました。具体的には「北方領土」に関する学習の成果や、学習成果発表会で戦争をテーマにした劇を演じたことやその様子について発表しました。これに対し、基町小学校の児童より、劇で当時の市民を演じた感想について質問がなされました。
そして、基町小学校の児童が、基町小学校に関連する原爆や平和に関するモノや場所について学んだことの成果を発表しました。基町小学校が「平和の軸線」上に位置していることや、原爆投下後もなお生き残る「エノキ」と呼ばれる被爆樹木があること、2024年に建設された新サッカースタジアム「エディオンピースウィング広島」の場所には、旧陸軍施設があったことについて発表しました。これに対し三井特任助教より、「原爆投下地近くにある基町小学校ならではの学習の成果だ」と感想が述べられました。
最後に、尾母小学校の児童が、南九州市の知覧平和会館での平和学習の成果について発表しました。児童は、館内に飾られている特攻隊員の遺影や笑顔の写真を見て、「戦争に行くのに(特攻隊員が)笑顔なのが印象的だった」と報告しました。これに対し、龍王小学校の児童より、「知覧平和会館の中には特攻隊員の遺品として他にどのようなものがあったのか」という質問がなされました。


展開2:各学校の発表を聞いて、子どもたちは何を考えたか?
展開1を踏まえて、各学校の児童が考えたことや感じたことを発表しました。「戦争は、場所や状況によって被害のかたちは違っても、多くの人々の暮らしや家族、笑顔を傷つけたものなんだ」という気づきや、「原爆が投下された町や資料館について詳しく知ることができて、平和への意識が高まった」などといった感想が述べられました。
その後、龍王小学校の木村さんより、各校の発表に対する総括的な所感が述べられました。木村さんの平和学習の発表を聞くことからスタートした本オンライン平和学習(詳しくは、第1回をご覧ください)。
木村さんは、「各学校が自身の発表を受けとめ、平和について精一杯学びを深めていたことが伝わり、嬉しかった」、「みんなの平和への想いは一つだと感じた」と感想を述べました。また、「今回の平和サミットで、みんなが心に抱いている”平和のバトン”を未来につないでいきましょう」と声をかけました。
終結:本時を企画した先生の「想い」
最後に、久木野小学校の岩田先生より、本時の学びや気づきが語られました。
今回の授業は、岩田先生の呼びかけによって実現したものです。「今日の学びを忘れることなく、これからも『平和』に関する学びを続けていきたいし、皆さんにもぜひ続けていただきたい。」という企画者としての強い想いが述べられました。


先生の声からはじまったオンライン平和学習
今回の授業は「平和」をテーマに、北海道、広島県、熊本県、鹿児島県の小学校がオンラインでつながり、交流を深めました。本企画は、現場の学校教員からのご要望・ご提案が端緒となり,実現することができました。このように、つながりたい「テーマ」や「地域」がございましたら、いつでもお気軽にお尋ねください。
これからもDCCプロジェクトでは,教室空間を越境し,多様な他者が有機的につながり,公共的な課題について対話を行う「これからの授業の在り方」を提案してまいります。


授業進行者:三井成宗、川本吉太郎
学校技術支援担当(龍王小学校):小笠原愛美
事務局機器担当(広島大学・オンライン):草原和博、草原聡美
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
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授業実践
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