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概要
2025年11月26日(水),徳之島町(鹿児島県)内の小学校5校6学級(亀津小,亀徳小,手々小,母間小,尾母小)の2~4年生77名と教育支援センターの児童生徒が参加し,遠隔授業を実施しました。授業の主題は,「事故や事件からくらしを守る-徳之島の警察署の場所はこのままでよいか?-」と題して,「公正」や「効率」の視点から警察の施設配置を提案できることを目指しました。授業全体の進行は草原和博教授が担当し,各教室の進行は担任(T2)が務めました。

導入:警察はどこに?
本時の授業は,警察施設の役割と分布を知ることから始めました。
まず,警察署・交番・駐在所にまつわる○×クイズ。
1.交番のおまわりさんは,1日中(24時間)働いている
2.駐在所のおまわりさんは,家族と一緒に駐在所でくらしている
3.伊仙町(島内別市町)で大きな事件が起きたときは,徳之島警察署から応援に来てくれる
答え合わせは,徳之島交番から警察官の方が中継で答えてくださいました。正解は3問とも○。実際に働いておられるお巡りさんの姿や声を見聞きすることで,交番や駐在所の働き方や役割を確認できました。

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続いて,島内の交番や駐在所の分布図を見て,「変だなあ」「おかしいなあ」と思うことはないか問われました。教室では、地図に半径4㎞の透明な円を当てながら,気になることを探しました。子どもたちは,「海沿いにしかない。山にはない。」「徳之島町にしか,警察署や交番がない。」など,交番や警察署が集まっている所(ギューギュー)とまばらな所(スカスカ)があることに気づきました。

そして,集まっている所とまばらな所があることは当たり前と思うか,それとも納得できないか,アンケートをとった結果,「当たり前」派が51.2%,「納得できない」派が48.8%で,ほぼ半々に意見が割れました。交番や駐在所の分布の仕方について意見が分かれていることを共有したところで,草原教授から本日のめあて「徳之島のけいさつは,このままでよいか?」が提示されました。
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展開1:警察施設の立地理由を説明する
展開は,なぜ,徳之島町に「だけ」警察署や交番があるのかを,町別の人口と事件数の資料を見ながら予想を立てることから始まりました。
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オンライン授業支援アプリ「TSUNAGU Pro」が分析した子供たちの予想は以下の通りです。
① いちばん多い予想
人が多くて、事件や事故も多いから(亀津小学校3-1・母間小学校3-1・亀徳小3-1)
町がまんなかで、どこにも行きやすいから(亀津小学校3-1・母間小学校3-1)
② ユニークでするどい理由
事件の数がすごく多い。伊仙23件、天城19件、徳之島64件で3倍くらい(亀徳小3-1)
天城や伊仙は作る場所がないから(亀津小学校3-1)
全体で予想を共有した後,草原教授から「天城町や伊仙町は,徳之島町に比べて駐在所が多すぎる。人口が少なく安全なので,もっと駐在所を減らすべきだ。」という挑戦状が児童に出され,各学級で賛否が話し合われた後,理由を発表しながら意見が共有されました。
・「人口が少ないけど、事件は起きる。だから、駐在所は必要。」(亀津小学校3-1)
理由:人が少なくても、もしもの時にすぐ来てもらえるから安心です。
・「徳之島町に交番と警察署があるなら、駐在所があってもいい」(母間小学校3-1)
理由:町ごとに見守る場所があると、広い島でも助けが早いからです。
これらの意見に対して,お巡りさんから,これまでの駐在所の削減や交番の新設など,過去に統廃合が行われたことがパネルを使って説明されました。そして,草原教授から,「地域の安全を守るために,警察署や駐在所,交番はバランスを考えながら,お困り度に応じて必要な場所に配置されている」とまとめられた後,「警察署をお引越しできるなら,どこに移動させるか」という新たな課題が提示されました。
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展開2:警察施設の立地の変更可能性を提案する
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各学級で「お引越しする場所」を考えた後,3つのブレイクアウトルームに分かれて意見を交流しました。規模の違う学校同士の交流でも活発な意見交換が行われ,距離的な平等を大切にする意見やお困り度に応じて場所を決定するべきだという意見に分かれました。
終結:
子どもたちの提案に対して,参観された大人やお巡りさんの意見も聞きながら授業をまとめました。参観された大人からは,距離的な平等を優先してもよいという子供たちの意見に賛成する声もあれば,人口密度や事件の発生状況を考えると悩ましいという意見もありました。また,お巡りさんからは,児童が未来の徳之島についてしっかりと考えていることを称賛しつつ,過去10年間の徳之島町の事件数を示しながら,「距離的平等,事件の発生件数や人口も考えることがとても大切。治安をよくするために少しでも事件現場に早くいくためには,今の場所が一番かけつけやすい。」と説明がありました。
最後に,草原教授は,地いきの安全を守るためには,「バランス」や「多め・少なめ(おこまり度)」を考えることが大切。どちらを大事にするかは,人によってちがうとまとめ授業を終了しました。
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徳之島型モデルの発展
徳之島町では,これまでにも遠隔合同授業「徳之島型モデル」の取組を進め,極小規模校の子供たちの教育効果の拡大や学校の活性化を図っておられます。今回の授業では,極小規模校に加えて比較的規模の大きい町内の学校も参加して,これまでにないカタチの遠隔授業として位置付けていただきました。
今後も、それぞれの地域の実情をとらえながら,よりよい授業のカタチを関係者の皆様と一緒につくりたいと考えています。
授業実施者Ch1:草原和博
授業補助者:各小学校での授業担当教員
徳之島交番からの中継:三井成宗
事務局機器担当:(亀徳小学校):宇ノ木啓太
学校技術支援担当(亀津小学校):川本吉太郎,(母間小学校):草原聡美,(手々小学校):神田颯
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
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