授業実践

【オンライン平和学習】つながる島、ひろがる思い~ともに考える“平和”のかたち~(2025.11.07)

2025.11.07

概要

2025年11月7日、広島市立似島小学校と北海道の奥尻町立奥尻小学校・青苗小学校の3校・4学級の小学校5~6年生の計38名が参加し、広域交流型オンライン平和学習を実施しました。
本授業は広島市教育委員会が企画し、各小学校で行われている平和学習の内容を紹介し合うことで、「平和とは何か」「なぜ平和が大切なのか」を考え、地域や時代を超えて平和の大切さを共有することを目的して実施しました。
全体進行は、広島市教育委員会の松本穂高指導主事(指導第一課)が担当され、広島大学EVRI・SIP運営オフィスのスタッフがオンライン授業の機器操作や運営を支援しました。

導入:今日はどんな学校とつながるのかな?

はじめに、似島小学校と奥尻小学校が自分たちの学校や地域の特徴を紹介しました。写真や動画での紹介に加え、クイズも出題され、青苗小も参加しながら、楽しく交流がスタートしました。

展開1:どんな平和学習をしているのかな?

次に、似島小学校と奥尻小学校の児童がそれぞれ平和学習の成果を発表しました。似島小学校の児童は、被爆樹木「アオギリの木」の紹介や、「被爆ピアノ演奏会」への参加を通して原爆投下後の広島について学んだことなどを発表しました。奥尻小学校の児童は、講師の先生のお話を聴き、戦後の北方領土における人々の生活について学んだことを発表しました。

展開2:平和のイメージを共有しよう!

2時間目は、平和のイメージを共有し、気づいたことについて交流しました。
まず、各学級内で平和のイメージを出し合いました。児童は自分のタブレット端末を使ってアンケートフォームに平和のイメージを書き込みました。その後、Googleスプレッドシートを使って全員のイメージを共有しました。
「普段通りの生活ができること」、「人が傷つくことがない世界」、「今ここにいること」、「明日が普通に来ること」など、たくさんの平和のイメージが出されました。さらに、「いつもの日常生活ができることに幸せを感じている人が多い」、「場所は違っても皆感じていることはほぼ同じだと思った」といった気づきも共有されました。
以上を受け、松本指導主事より「北方領土や原爆など平和学習の内容は違っても心で想っていることは同じだということ、家族や友達など平和は近くにあるのだということを、みんなの平和イメージから感じることができた」と感想が述べられました。また、「家族や地域の人などの身近な人にも平和について聞き、平和イメージを広げてみてね」と声をかけられました。

終結:本授業を通して、児童は何を学んだか

最後に、それぞれの学校の児童が授業を通して考えたことや感じたことを発表しました。「戦争がないことが平和だと思っていたが、ご飯を食べられることが平和だと思った」、「平和は身近にあることに気づいた」、「平和のイメージが広がった」など、平和イメージの拡大を実感する感想が述べられました。また、「被爆ピアノがあることを初めて知った」、「他の地域の平和学習も学びたい」など、本授業を通して児童が新たな気づきを得られたことが伝わる感想もありました。

先生の声からはじまったオンライン平和学習

今回の授業では「平和」をテーマに,北海道,広島県の島にある小学校がオンラインでつながり,交流を深めました。なお本企画は,現場の学校教員からのご要望・ご提案が端緒となり,実現することができました。このように,つながりたい「テーマ」や「地域」がございましたら,いつでもお気軽にお尋ねください。
これからもDCCプロジェクトでは,教室空間を越境し,多様な他者が有機的につながり,公共的な課題について対話を行う「これからの授業の在り方」を提案してまいります。

この授業の関係者

授業実施者:松本穂高(広島市教育委員会学校教育部指導第一課・指導主事)
学校技術支援担当(似島小学校):三井成宗,小笠原愛美
事務局機器担当(広島大学・オンライン):草原和博,川本吉太郎,神田颯,草原聡美

この記事を書いた人
SIP staff
三井・川本・宇ノ木・神田

「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!