2025年6月26日(木)に草原和博教授,宇ノ木啓太研究員が北海道教育大学釧路校を訪問し,「デジタル・シティズンシップ・シティ(DCC)」に関心をもつ学生を対象とした説明会を開催しました。当日は,17名の学生にご参加いただき,終始活気ある雰囲気の中で実施されました。
DCCプロジェクトはこれまで,広島県東広島市を拠点として実践を重ねてきました。現在は,その理念と実践をより多様な地域へ広げていくことを目指しており,その一環として北海道での展開に力を入れています。
説明会の冒頭では,草原よりDCCの全体構想と,なぜ現在北海道で拡張を図っているのかについて話がありました。DCCが目指す「公共的対話を通じたデジタル公共圏の構築」や,「越境を伴う学び」の意義について,これまでの授業実践を交えながら紹介しました。
続いて宇ノ木からは,DCC授業を支える学生の役割について具体的な説明がなされました。DCCでは,大学生(T3)が授業支援に深く関与しており,その役割は主に「①学級支援,②中継,③学校本部,④大学本部」の4つに分かれます。たとえば,「学級支援」では,機器の接続や子どもたちの意見交換,話し合い活動を円滑に進めるためのサポートを行い,「中継」では教室とフィールドをつなぐ役割を担います。また,「学校本部」や「大学本部」では授業全体の進行管理にも関与し,プロジェクト全体を支える役割も担います。こうした分担を通じて,学生たちは教育実践やICT活用の力を実践的に学ぶことができます。
説明中には,これまで支援に携わった学生の実体験の声も紹介され,参加者からは「これまで見たことのない人数の少ない学級や大規模な学校を知ることができた」「自分の教育観が広がりそう」といった感想が寄せられました。質疑応答の場面では,「学級支援のコツ」や「学校と地域のつながりの意義」などをめぐって,熱心な質問が相次ぎました。
説明会の終盤には,「今後のDCC授業にぜひ支援者として参加したい」と名乗りをあげる学生も現れ,その場でプロジェクトへの参画意欲が高まっていることが感じられました。DCCの授業支援は,単なる裏方業務にとどまらず,授業の当事者として関わりながら学びを共に創る実践の場でもあります。
私たちDCCプロジェクトは,今後も北海道をはじめとした他地域の大学・教育機関との連携を深め,教員養成課程においてもDCC型授業の体験的な学びを広げていきたいと考えています。教育の場を越境しながら,ともに公共的な学びの場をつくっていく仲間を,全国各地で増やしていくことを目指し,引き続き取り組んでまいります。

