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【2025.03.26-28】ブラジル・サンパウロで,AI学習支援プログラムの実証調査を行いました

2025.04.11
  • 調査

2025年3月26日~28日にかけて,草原和博教授金鍾成准教授がサンパウロ大学教育学部附属小中学校を訪問し,ポルトガル語環境でのAI学習支援プログラムの稼働について調査しました。
本プログラムは,遠隔教室の音声を自動で収音し,文字化と要約を行うことができます。さらにホスト教員の指示(意見の傾向分析,立場の分類・整理,評価等)に基づいて,収音結果を分析する機能も実装しました。すでに国内の日本語環境では稼働が検証されていましたが,外国語環境でも稼働するかは未検証でした。近年日本の教室では,外国にルーツを持つ児童生徒が増えています。本プログラムが多様な言語環境で稼働するかを確かめることは,本システムの社会実装において重要な意味を持ちます。

このたびのサンパウロ調査では,国語(ポルトガル語),歴史(奴隷貿易),地理(経済体制)の授業で検証作業を行うことができました。
国語のアクセントや音韻の指導では,テキストベースのAI分析には限界が認められる一方で,コンテンツをベースとした歴史や地理の指導では,AI分析が効果を発揮しました。とくに机間巡視中に教師と子どもが交わす対話についても適切に収音・分析できることが確認できたことは,収穫でした。もともと本システムは、離れた教室の発話状態を教室間で共有するツールとして開発されました。しかし今回の検証過程で、教室内の子どもの発話やグループ活動の分析にも転用できることが分かりました。さらに,収音結果の自動翻訳機能を実装することで,外国ルーツの児童生徒が母語で授業に参加できる可能性も確認できました。

引き続き遠隔授業のプラットフォームの構築と国際標準化をめざして,研究開発を進めてまいります。