About Us

私たちの活動

私たちは「規模の異なる学校の協働」「公共的課題の対話」「越境する教室空間」「デジタルによる柔軟な結合」「多様な市民の包摂」,この5つの学びの姿を実現できる公教育空間=デジタル・シティズンシップ・シティの創出を目指しています。

Message

代表者挨拶

研究開発責任者の草原和博と申します。
本ホームページをご覧いただきありがとうございます。
私たち研究者には,夢があります。新しい公教育の姿をカタチにすることです。
私たちは,10年後の教育の姿を,空想や論文ではなくカタチにして,市民の皆さんと分かち合いたい。私たちは,その姿を市民の皆さんにソトから観察してもらったり,ウチから体験してもらったりしながら,その夢が本当に良い夢かを語り合いたいと願っています。

夢にむけた第一歩は簡単です。学校と学校をデジタルで,オンラインで結ぶことです。ただそれは,本当に小さな小さな一歩にすぎません。この小さな一歩を積み重ねることで,さらに大きな夢の実現に歩み出したいのです。例えばこんな夢です。

第1に,どこに住んでいても,山の中でも海辺でも,ビルに囲まれていても,地域人口が多くても少なくても,より質の高い教育を受けることのできるシステムを作ることです。
第2に,これまで以上に多様な他者と出会い,対話し,見解の相違・対立を受けとめ,よりよい社会のあり方を追究することを目指したカリキュラムを作ることです。
第3に,市町という境界を越え,個人の想いや言語,利害を越え,文化的背景や社会的地位を越えて,異なる考え方と出会い,そこから学び合う授業を作ることです。
第4に,学校を,子どもだけでなく大人も集って学ぶ場に,そして教師という専門家の下で,社会の課題について対話を繰り広げる公共空間に作りかえることです。
第5に,たとえ学校という場に集わなくても,様々な場から上の4つの学びに参加し,社会づくりに参画できるヴァーチャルなシステムを作ることです。

私たちの夢は,そんなに遠いところにはあるわけではありません。
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は,新しいテクノロジーをうまく手なずける仕組みやルールを提案し,「ともに良き社会をつくる公教育」を創造していきます。
By EVRI, For Everyone. Innovative Educational Design。先進的な教育のデザインは,広島大学のEVRIから。ご期待ください。

Outline

概要

広島大学大学院人間社会科学研究科・教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は,内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として,「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」事業を推進しています。このサイトは,その成果を紹介するものです。

キーワード解説!

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)とは?

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広島大学教育ヴィジョン研究センター(Educational Vision Research Institute,略称はEVRI)は,2017年に設立された広島大学人間社会科学研究科の附属教育研究施設・センターです。多様な専門や背景を持つ教員と大学院生が所属し,教育学・教科教育学・心理学の諸領域を横断する教育活動や社会貢献活動,国際交流を行っています。

キーワード解説!

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)とは?

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戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は,内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔機能を発揮して,府省・分野の枠を超え,国民にとって真に必要な社会課題や日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組む国家プロジェクトです。
SIP第3期は14の課題があり,このうち国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が2つの課題の研究推進法人として,研究開発テーマのマネジメントを実施する役割を担っています。その課題の1つが,「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」です。EVRIのチームは,3つのサブ課題を担当しています(主はサブ課題A,副としてサブ課題B・Cを担当)。

これまで,Town&Gown 構想で連携する東広島市と広島大学は,ポストコロナの社会や教育を見据えて,複数の学校・教室が合同で社会的課題を探究する「広域交流型オンライン地域学習」を制度化してきました。

キーワード解説!

Town&Gown 構想とは?

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東広島市が推進する,Town(市)とGown(大学)が一体となってまちづくりに取り組むという構想です。広島大学は2021年度から,東広島市と連携して様々な取組を推進してきました。

キーワード解説!

広域交流型オンライン学習とは?

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広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が2021年度から展開する,東広島市教育委員会と連携した学習プログラムです(プロジェクト代表者:草原和博)。GIGAスクール構想の推進によって実現した子どもたちの「1人1台」端末と学校のICT環境を活用して,市内各地からの中継を交えながら,東広島市の地理・歴史・政治・経済・文化などについて対話的・双方向的に学びます。さらに,この学びを広島大学の教員と大学院生がコーディネートします。2023年度からは対象を中学校にも拡大して実施しています。

Mission&Vision

めざす姿

SIP事業では,従来の「広域交流型オンライン学習」をさらに発展させます。すなわち,多様な立場や価値観をもつ子どもが,地域・社会の論点争点についてデジタル(オンライン・バーチャル)空間を媒介に「公共的対話」を行い,協働して課題解決や社会づくりに参画する「デジタル・シティズンシップ・シティ」の構築を目指します。人口減少社会では,へき地と呼ばれる地域を中心に,小規模な学校の増加が避けられません。小規模な学校では,対話の相手が限られるため,対話を通じて視点や価値観を広げること,対話を通じて個人や集団の意見をつくること,そして自分たちの意見を見知らぬ他者に向けて表現する活動が難しくなります。しかし,デジタルの力を借りると,越境が容易となります。空間的に離れた子どもはもちろん,普段会えない大人ともデジタルでつながり,地域・社会の論点争点をめぐって意見交流したり,説得・交渉したりする遠隔授業が実施できるようになります。

私たちのミッションは,「デジタル・シティズンシップ・シティ」の構築を通して,学校を「公共的対話」のための場として活性化させること,そして,どこでも・だれもが空間的格差や社会的断絶を越えて共に学ぶことを保障した公教育のカタチを構想し実装することです。

このミッションを実現するための具体的なヴィジョンを,以下4つのキャッチフレーズに整理しました。頭文字をとって"NICE"です。

キーワード解説!

NICE

Networking between schools
学校を結びつける
Initiating dialogue among schools
学校間の対話を促進する
Creating digital public spheres
デジタル公共圏を構築する
Educating democratic citizens
民主的市民を育成する

Strategy

戦略

上のミッションとヴィジョンを実現するために,以下3つの取組を推進しています。
すなわち,➀公共的対話を実現する主題や教材,方法論を組み込んだカリキュラムの開発,➁様々な立場の市民(保護者・企業・行政・住民・不登校児童生徒等)が公共的対話に参画できる社会基盤の開発,➂離れた教室の意見を自動で分析・可視化し,公共的対話をサポートするAI学習支援プログラムの開発です。

この3つの取組を効果的に推進するために,以下の体制を確立しています。
広島大学EVRIには,管理・運営ユニット,カリキュラム開発ユニット,制度・意識開発ユニット,技術開発ユニットの4つのユニットを設置し,組織的に研究開発を進めています。4つのユニットのメンバーは,毎月1回の運営会議を開催し,研究開発の進捗を確認しています。
研究開発には,大学(広島大学EVRI),自治体(東広島市教育委員会),企業(SoftBank株式会社)の三者が連携してあたっています。三者は定期的に連絡協議会を開催し,成果や課題を共有しています。
遠隔授業の実施にあたっては,事前の授業計画づくりや授業打ち合わせから事後の振り返りにいたるまで,教育委員会の指導主事,学校の教員,大学の研究者・大学生が,協働・協力して進める体制が確立されています。

事業のイメージ
事業のイメージ

History

取組の実績

2021年度から2023年度までの広域交流型オンライン地域学習の実績は以下のとおりです。期間中に小・中学校で合計30回実施され,延べ200校近く,9000人以上の子どもたちが学習に参加しました。2024年度も14回の実施を予定しています。

「広域交流型オンライン地域学習」実施における実績一覧(ファクトシート)