南浦 涼介(広島大学)
のんバス取材
またまた1月某日朝。僕たちは東広島市芸陽バスの本社前車庫にいた。僕,草原先生,SIPスタッフ一同でバスの取材です。前回でそっと確認したのんバスの中を,今度は正式に依頼して取材をさせていただき,動画や写真に収める日。
今日の取材はいくつかの視点があった。
1つは,「のんバスには多言語表記がいくつあるのか?」。これはもともとの見込みでは,「席を立たないでください」の1つしかないのかを確かめること。
もう1つは,「のんバスに,多言語表記にしても良さそうな『ご注意系』以外のものにはどんなものがあるのか?」。もちろん,それは多言語表記にすべきということではなく,子どもたちが「あ,これも多言語にしてもいいんじゃない?」と思えるものを集められるようにすることだ。
芸陽バスの西条営業所の所長さんにご挨拶をして,いざ見学! 車庫の中にあるバスに入るのは人生で初めて。お願いをして方向幕(といっても今は幕というよりは電光板になっている)も動かしてもらいながら,中に草原先生とスタッフといっしょに中に入る。
まずは「席を立たないでください」の多言語表記があるかどうか……,「お,あった!」とスタッフの宇ノ木さん。あったというよりは,全席の前に貼ってある! どうも僕が見たバスのバージョンとこのバスは異なるものらしい。
ただ,やっぱり多言語表記のものはこの1種類のようだ。
続いて,バスの中にあるいろいろな掲示物を見てみる。「出入口(DOOR WAY)」「このマークを見かけたら席をゆずるなどの配慮をお願いします(If you see someone with this symbol, please offer them your seat.」と英語併記で書かれているもの,車椅子やベビーカーや優先席などピクトグラムで表現されているもの,「協力店舗で特典が受けられるよ!」と書かれた乗車証明書を取る場所,PASPYサービス終了のご案内,路線図などは日本語表記だけだった。

日本語表記だけのもの,英語が併記されているもの,ピクトグラム,多言語表記と,だいたい4つの種類のものがあるなあと草原先生がまとめながら話している。このあたり,サッと状況をタイプ別に分ける視点は社会科らしい視点だなと思う。
さて今度は,これを「取材」としての動画風に見ていく。相談の結果「風景だけ」のものと「南浦&草原登場バージョン」の2つを取ることに。ただ,どうしてもバスの車内で大の大人が2人で回りながらそれをカメラで追うのは大変そう。何度もリテイクをしながら,「これは宇ノ木さんがいい感じに編集してくれます!」と草原先生。笑顔の宇ノ木さん。実はこういう教材の動画はほとんど宇ノ木さんと神田さんによって丁寧な編集が加えられ,子どもたちにとって飽きがなく,かつ情報として的確に伝わるようなものに変化する。職人のような力を持っている。




取材が終わって
取材が終わって,芸陽バスの所長さんがいろいろのんバスについても教えてくださった。JRバスと芸陽バスの2社で運行するため,バスも2つの種類があること。方向幕が最近は電子化されたことで,いろいろな方向幕表示ができるようになったことなどなど。
個人的にとっても好きだったのはこの写真。

「ゆめタウン」という広島のショッピングセンターは昔は「イズミ」と呼ばれていて,年配の人は今もそう呼ぶ。だからこれは年配の人の手作りだなと伝わってくる。英語表記も「Hiro」と「Uni」だけ赤字になっている。これは「広大」をそのまま英語も略称ルールを取り入れたんだろうと推測できる。
こういう変化は「正しいかどうか」とか「ちゃんとわかるかどうか」という点では微妙かもしれない。けれど,「ここを赤字にしてみよう」「これを書いておこう」というローカルなあたたかみはすてがたい良さがあるんだよな。街の中にはこういう手作りの良さが実はあふれているのだ。
芸陽バスさん,取材をありがとうございました!(その後の宇ノ木さんの編集の見事さに改めてびっくり!)
2023年の春に広島大学にやってきました。「先生」の仕事は23年目,大学の先生の仕事は14年目,広島大学の先生の仕事は2年目の古米のような新米です。授業や多文化共生の教育の仕事が大好きですが,ラーメンも好きです(最近控え中)。
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