2025年9月22日に第4回SIPデジタル・シティズンシップ・シティ連絡協議会を開催しました。本協議会は,SIP事業に採択された「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」を円滑に推進するために,関係機関(広島大学,東広島市,ソフトバンク株式会社)が協議を行う場です。研究開発責任者の草原教授が議長を務めました。
カリキュラム開発の成果
前半は,2025年度上期の事業成果が報告されました。まず,カリキュラム開発の成果が報告されました。5年目の本年度は,とくに今年度の成果として,小学校学習指導要領「社会科」の中項目の全単元を開発したことが報告されました。それに加えて今年度は,多文化共生編の授業や夏休みの自由研究企画,高校総探授業,海外(韓国,アメリカ)でのオンライン学習を展開していることが述べられました。
社会基盤開発の成果
次に,社会基盤開発の成果が報告されました。まず東広島市の参加実績について,年度を経るにつれて東広島市内の参加校数が増加していること,とくに比較的小規模校(豊栄小,福富小,河内小)からの参加が多いことが報告されました。次に,国内他自治体への展開状況について,東広島市以外にも多くの自治体(学校)が広域交流に参加しいること,とくに北海道や鹿児島県の中のへき地・離島に位置する小規模校から多く参加されている現状が報告されました。
不登校児童生徒等への学習機会の提供の成果
続いて,フレンドスペースやスペシャルサポートルーム等に通う不登校児童生徒等に学びの場を提供する取組についても報告されました。DCCでは,学級が同一チャンネルでつながる学習空間(通称,チャンネル1)に加え,チャンネル1の様子を副音声放送とともに視聴する学習空間(通称,チャンネル2)を開設しています。市内のフレンドスペース・小中学校SSRに加えて,広島県のスクールS,鹿児島県徳之島町の島われんきゃハウスから継続的に参加されている現状が報告されました。
AI技術開発の成果
最後に,AI技術開発の成果が報告されました。現時点で開発したAI学習支援システムおよび遠隔授業マッチングアプリを統合した「TSUNAGU」(仮称)アプリケーションの開発が進められていることが報告されました。2025年度の下期には,誰でも簡単にブラウザを通じてシステムにアクセスできるWebアプリ化が実装される予定であることが報告されました。そのうえで今後の研究開発の方針として,①教師・子どもの情報の視認性向上,②教師の授業運営負担の軽減,③子どもの学習の最適化の3つの価値創出を目指していくことが述べられました。
協議の成果
以上の成果報告を踏まえ,後半の協議では,本DCC事業の魅力を発信したり,保護者やひろく市民の参観を促したりすることで,本事業の理解の拡大を図ることの重要性が確認されました。とくにAIなどのテクノロジーを活用したアプリケーションの有効活用や不登校傾向の児童生徒を主たる対象としたチャンネル2の展開による多様な学習者に対する学習機会の提供といった学習者を広く包摂するDCC事業の意義について,関係者間で合意しました。
本協議会は,関係機関の連携の重要性を再認識する場となりました。東広島市教育委員会・学校教育部長の片岡委員からは「デジタル空間を活用し,教室の垣根を超えて,対話を行い,多様な考え・価値観に触れることができる」「先進的かつ包摂的な事業が東広島市で展開できていることを光栄に思う。DCCの構想の実現に向けて今後とも連携・協働を深めたい。」とのコメントをいただきました。
今後も,関係機関が密接に連携しながら,DCCの拡張に努めてまいります。








