概要
2025年9月18日,東広島市の龍王小学校,北海道奥尻町の奥尻小学校と青苗小学校,熊本県南阿蘇村の久木野小学校,鹿児島県徳之島町の尾母小学校の全5校・小学校3~6年生の61名が参加し,広域交流型オンライン平和学習「未来へつなぐ,平和のバトン~8月6日を忘れない~」を実施しました。本授業は,広島県の児童による平和学習の成果や原爆体験者の話を聞いて,戦争の悲惨さと平和の尊さを理解するとともに,平和学習への意欲・関心を醸成することを目的として企画されました。授業の全体進行は,広島大学の三井成宗特任助教と川本吉太郎特任助教が担当しました。
導入:1945年8月6日に広島でなにが起こったのか?
はじめに,三井特任助教より本授業の目標が確認されました。「1945年8月6日に広島で何が起こったのか。それが現在どのように語り継がれているのか」について,被爆者の宮川静登さんによる当時を振り返った語りや,小学6年生による平和学習の成果発表を通じて知り,学び,考えることが確認されました。その後,参加校より,各校の特色と平和学習の取り組みや本授業に参加した動機などが紹介されました。


展開1:被爆者 宮川さんの語り
次に,川本特任助教をインタビュアーとし,宮川さんに被爆当時の様子についてお話いただきました。まず,1945年当時の世の中の様子についてお話いただきました。小学生のころから爆弾を避ける訓練を行っていたこと,召集に向け自由のない生活を送っていたことなど,当時の様子が語られました。その後,1945年8月6日のことについてお話いただきました。当時16歳だった宮川さんは,東広島市から広島市内の高校に通学する途中,広島駅前で被爆しました。一瞬の光線・暗闇の後,宮川さんの目に映った光景は「生き地獄であった」と語られました。また,被爆後に「ピカドンにあった人」として生きることの苦悩などが語られました。最後に,小学生へ平和のメッセージを述べられました。「平和学習バスなどを通じて平和の儚さを学び,自ら平和を発信し,全国に平和の大切さの絆を築いていくこと」への想いが語られました。
宮川さんの発表を聞いて,奥尻小5年生より「宮川さんが被爆をして一番つらかったことは何ですか?」という質問が出ました。宮川さんは,「何よりも空腹が一番つらかった。強制的に軍隊にお米を送らなければならなかったため,農家であってもお米をお腹いっぱい食べることができなかった」と語られました。

「平和への想い」を語っていただきました

展開2:平和学習をした龍王小 木村さんの発表
次に,龍王小6年生の木村日花稟さんより「平和学習バス」に参加して学んだことについての発表を行いました。「平和学習バス」とは,東広島市の小学生と中学生が一緒にバスに乗り,平和公園や資料館に行き,平和について学ぶ取り組みです。原爆ドーム,慰霊碑,平和の灯,広島平和記念資料館などを巡り,また,そこで展示されている碑文や展示物を目前にし,「心で強く,戦争や原爆は絶対にあってはいけないと想った」ことが述べられました。最後に,参加者全員に対して,「皆さんは平和のためにどんなことができると思いますか?」という問いが投げかけられました。


その後,2名のお話を踏まえて参加校との質疑応答を行いました。青苗小5年生からは,木村さんに対して「どうして被爆のことを調べようと思ったのですか?」という質問が出ました。木村さんは,龍王小の児童会長(代表)として参加したことに加え,個人的にも平和や原爆についてもっと学びたいと思い参加したことが述べられました。続いて,奥尻小6年生からは,「平和学習バスに参加して最初に思ったことは何ですか?」という質問がなされました。木村さんは,資料館に入ったときの感想として,今まで平和に暮らしていた人々が原爆によって一瞬のうちに生活を壊されたことを実感したと回答しました。

「なんで平和学習に関心を持ったの?」

終結:平和の「語り」を聞いて,子どもたちは何を学んだか
最後に,参加校の代表者より本日の感想が述べられました。宮川さんの語りや木村さんの発表を踏まえ,原爆の悲惨さやリアルさを身に感じたことが述べられました。それだけでなく,「今日学んだことを家族や未来に伝えていきたい」,「被爆した人の想いをつないでいきたい」,「未来の平和を守っていきたい」,といった強い想いが述べられました。




先生の声からはじまったオンライン平和学習
今回の授業では「平和」をテーマに,北海道,広島県,熊本県,鹿児島県の小学校がオンラインでつながり,交流を深めました。なお本企画は,現場の学校教員からのご要望・ご提案が端緒となり,実現することができました。このように,つながりたい「テーマ」や「地域」がございましたら,いつでもお気軽にお尋ねください。
これからもDCCプロジェクトでは,教室空間を越境し,多様な他者が有機的につながり,公共的な課題について対話を行う「これからの授業の在り方」を提案してまいります。
【追記】本授業が、熊本日日新聞で紹介されました!
2025年9月19日付の熊本日日新聞に「16歳で被爆した96歳・宮川さん「平和築いて」 久木野小などオンラインで体験語る」のタイトルで本授業が紹介されました。記事の詳細は、以下よりご覧いただけます。

授業実施者:三井成宗,川本吉太郎
被爆体験の語り:宮川静登さん
平和学習の成果発表:木村日花稟さん
学校技術支援担当(龍王小学校):小笠原愛美
事務局機器担当(広島大学):草原和博,神田颯,草原聡美
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
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