指導案・教材・YouTube動画
授業の概要
2026年5月14日(木),北海道内の中学校2校(2学級)の生徒10名と各地の教育支援センターが参加し,「北海道DCC企画」の第1回授業が実施されました。
今回の授業のテーマは,「歴史のとらえ方・調べ方:「歴史教科書の太字」は重要か?」でした。本授業では,生徒が普段使っている教育出版の教科書『中学社会 歴史』(令和8年度版)とアイヌ民族文化財団が北海道内のすべての小・中学校に配布している副読本『アイヌ民族:歴史と現在』の記述や太字の違いに注目し,「重要な歴史」のとらえ方・調べ方について探究しました。
授業の全体進行は北海道教育大学釧路校の玉井慎也講師,各教室の進行は各学級の社会科担任が務め,3名の専門家に外部ゲストとして参加していただきました。また,北海道教育大学釧路校の学部3年生50名もオンラインで参観しました。
導入:「歴史教科書の太字」は重要か?
導入では,事前アンケート結果の共有から始めました。「『歴史教科書の太字』は重要だと思いますか?」という問いに対し,生徒は「とても重要:4人」,「それなりに重要:4人」,「あまり重要ではない:2人」と回答していました。
理由を代表生徒が発表して交流した後,学習課題「『歴史教科書の太字』は,なぜ重要なのか?(どう決まっているのか?)」が提示されました。
展開1:「重要な歴史」は,どう決まっているのか?
展開1では,まず,「生成AIが提案する『釧路市/洞爺湖町の重要な歴史』にあなたは賛成?反対?」という問いを投げかけ,生徒は挙手して考えを表明しました。
・洞爺中の生徒:有珠山の噴火だけじゃなくて,洞爺湖村の開拓に貢献した人物(大久保諶之丞)の歴史も入れるべきだ!
・山花中の生徒:北海道教育大学釧路校の設置によって釧路市が発展したかわからないから,年表からは外しても良いのではないか!
その後,「重要な歴史」を見極めるポイントとして,北海道教育大学釧路校の秋山先生,アイヌ民族文化財団の江草先生,釧路市立博物館の城石先生にインタビューし,専門家が「重要な歴史」をどうやってとらえたり調べたりしているのかについて学びました。
•「重要な歴史」は,いつでも・どこでも同じ?誰にとっても同じ?文字資料でしか残っていない?
•「重要な歴史」は,「時期」「推移」「比較」「関連」という視点を働かせて見つけてみると良い

展開2:歴史教科書の記述や太字を比較しよう
展開2では,17世紀の和人とアイヌ民族の交易を例に,教育出版の教科書『中学社会 歴史』(令和8年度版)の123ページとアイヌ民族文化財団が北海道内のすべての小・中学校に配布している副読本『アイヌ民族:歴史と現在』の16〜17ページを次の3つのポイントで比較し,Googleスライドに整理しました。
① 何が太字になっているか(強調された用語や表現を見つける)
② なぜ太字になっているか(周辺情報を読んで,重要な理由を考える)
③ どんな思いが込められているか(温度感をつかんで,立場性を考える)



展開3:「歴史教科書の太字」はなぜ違うのか?歴史教科書以外にも「重要な歴史」はあるのか?
展開3では,展開2で作成したスライドを用いて「歴史教科書の太字」が異なる理由を発表・交流しました。その後,専門家から「副読本の太字の理由」に関する解説,そして歴史教科書以外での「オススメの歴史の学び方・調べ方」が共有されました。
・江草先生(副読本をつくっている立場から):副読本では当時の和人とアイヌの関係が対等ではなかったこと強調したいねらいがあった。本当かどうか調べるためには,興味のあるスポットに実際に訪れてみたり,直接関係者の話を聞いてみたりすることが大事なのではないか。アイヌ民族文化財団では,総合学習や探究学習をサポートするアドバイザー派遣もやっているため,活用してみてほしい。
・秋山先生(外国史研究者の立場から):和人やアイヌの中でも様々な立場(子ども,老人,男女など)の人がいる。地域も違う。それぞれの立場から重要な歴史が語られているのではないか。これからも有珠山噴火のように自然災害が歴史に与える影響を考えると面白いのではないか。
・城石先生(学芸員の立場から):蝦夷錦は中国(清)で作られたものなので,海外と交流していた証として博物館でも写真展示している。当時のアイヌ民族は,特別な儀式で着ていた。こうした物語を小説やマンガからでも良いので,面白いと思ったところを深めていくと良いのではないか。博物館にもぜひ訪れてみてほしい。



終結:改めて,「歴史教科書の太字」は重要か?
終結では,「歴史教科書の太字は,とにかくたくさん覚えればそれでいいじゃん!!」と言っている人を想定して,反論するパフォーマンス課題に取り組みました。
・太字の用語を覚えるのではなく,太字の意味内容(理由など)を覚えたほうがいいのでは?
・生活に活かせそうな歴史も調べたらいいのでは?
このように,生徒は「歴史のとらえ方・調べ方」について学習した成果を用いて,教科書の読み方・使い方を表現することができました。授業の最後には,「重要な歴史」が歴史をとらえる「時期」・「地域」・「立場」で変わることを確認し,授業を閉じました。
なお,本授業は,以下の2社の新聞記事で報道いただきました。
・北海道新聞「洞爺湖町の中学校とオンライン授業 釧路・山花中生、地域の歴史学ぶ」(2026年5月15日,15面)
・釧路新聞「歴史の重要性 関心深める 山花小中、洞爺中とオンライン学習」(2026年5月15日,13面)
授業実施者Ch1:玉井慎也
授業実施者Ch2:三井成宗(広島大学),中西美里(広島大学)
授業実施者(各学級):加嶋さおり(釧路市立山花小中学校),亀田真奈歌(洞爺湖町立洞爺中学校)
ゲスト:秋山徹(北海道教育大学釧路校),江草佳和(アイヌ民族文化財団),城石梨奈(釧路市立博物館)
釧路市立博物館中継担当:山瀬美結,山口藍(北海道教育大学釧路校)
学校技術支援担当(釧路市立山花小中学校):近藤璃空,廣岡咲彩,後藤妃南(北海道教育大学釧路校)
事務局機器担当①(洞爺湖町立洞爺中学校):大戸玲穂(北海道教育大学釧路校)
事務局機器担当②(北海道教育大学釧路校):佐々島忠佳(北海道教育大学釧路校)
北海道版DCCを運営する大戸・佐々島が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
-
授業実践
-
授業実践
-
授業実践




