指導案・教材・YouTube動画
授業の概要
2026年2月27日,北海道内10校11学級の児童(計265名)が参加し,広域交流型オンライン学習を実施しました。本授業は,戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」の一環として行われたものです。第4学年社会科「国際交流がさかんなまちづくり―外国人が増えるニセコ町のお困りごとを解決しよう!―」をテーマに,複数地域の学校をオンラインでつなぎながら,国際交流の現状と課題について考えました。授業の全体進行は北海道教育大学釧路校の玉井慎也講師が担当し,各教室では学級担任が指導しました。さらに,同校の学生が授業運営を支えました。ニセコ町役場とも中継を行い,実際に国際交流に携わる方々との対話を通して学びを深めました。


導入:ニセコ町と参加校の地域を比較
授業は,ニセコ町と各参加校の地域を比較する活動から始まりました。子どもたちは,新千歳空港からの距離,積雪量,人口,外国人住民数,外国人観光客数について,〇×で予想しながら,資料をもとに確認しました。クイズを通して,「雪が多くスキーが有名」「10人に1人は外国人が住んでいる」といったニセコ町の特徴を捉えることができました。
外国人が多いというニセコ町の特徴を確認したところで,玉井先生が「もし自分たちのまちに外国人がたくさん来たらどう思うか」と問いました。子どもたちは「いろいろな国の文化を知れて嬉しい」「ルールを守らない人がいたら困る」など賛否を共有。外国人の増加についての多様な意見が表明されました。ここで,ニセコ町役場に中継をつなぎ,役場で働く宮さんや国際交流員の越湖さん・アンナさん・カニャさんに,外国人が多いまちの良さや課題について話を伺いました。


展開1:ニセコ町の人々へのインタビュー
展開1では,ニセコ町と中継を結び,国際交流をしている日本人住民の越湖さんと外国人住民のアンナさん・カニャさんにインタビューを行いました。越湖さんからは,「それぞれの国の遊びを知ることができて嬉しい」「スキーをしにくる観光客が多く,嬉しいけどスキーがしにくい」といった良さや課題が語られました。一方,外国人住民からは,「太鼓や日本舞踊,味噌づくりなど日本文化を体験できて嬉しい(アンナさん)」「日本語が十分に話せないと,移住のための書類作成やお店の電話予約が大変(アンナさん)」「イスラム教で豚肉が食べられないので,イスラム教に優しいお店を探すのが大変(カニャさん)」といった良さや困難が紹介されました。子どもたちは,言語や文化の違いが具体的な生活上の課題につながっていることを聞き取りました。
ここで,ニセコ町のまちづくりを担当している宮さんは,「国際交流のまちづくりは完璧ではない」「マナーを守ってくれない方もいるし,逆に日本人の中でも外国人に理解を十分に深められていない人もいる」と述べました。そして,ニセコ町からは,「もっと国際交流が進むように,ニセコ町に住む日本人や外国人が困っていることを解決してほしい」という学習課題を提示していただきました。子どもたちは,現地住民の実態を踏まえながら,課題解決に向けた方策を考える段階へと進みました。


展開2:困りごとの解決策を提案
展開2では,ニセコ町の課題の解決策を提案する活動に取り組みました。まず,ピラミッドチャートを用いて,5つの課題の中から最も解決したい課題を1つ選定。理由と合わせて発表してもらいました。
「観光や暮らしのマナーやルールを守ってくれない(8学級)」
→みんなが気持ちよく生活ができるようになるから
「ごみの分別の仕方が分からない(2学級)」
→日本に住んでくれている外国人に感謝して,お困りごとを解決してあげたいから
「ハラールとビーガン向けのお店が少ない(1学級)」
→ニセコに暮らしたいと思う人が増えるから
続いて,Googleスライド上で,選んだ課題の解決策を提案しました。子どもたちは,「騒音を出さないよう多言語で示したイラストをつくる(総合的な学習の時間の成果)」「外国人向けのごみ袋を販売する」など工夫を提案しました。
ここで,どの学級の解決策が最も素敵だと思ったか,子どもたちに投票してもらいました。どの解決策にも魅力があり,様々な学級に票が集まりました。投票を通して,他学級の提案に学び,多様な解決策や考え方に触れることができました。


終結:ニセコ町に住む当事者からの応答
授業のまとめでは,子どもたちの提案に対して,ニセコ町の方々からは,「実はごみ袋に英語表記をつけるのはニセコでもやっている(アンナさん)」「ハラールフードを作れる人をスカウトするという提案は嬉しい(カニャさん)」「富良野東のようなキャラクターがあると分かりやすい(越湖さん)」「ラジオニセコで,英語での館内放送をしてみたい(宮さん)」と応答があり,子どもたちの提案が現実のまちづくりと結びつく場面が生まれました。このように,子どもたちは,ニセコ町に住む国際交流員や役場の人との対話を通して,外国人と共生するための課題とその解決を考察・提案することができました。
教室と教室,教室とニセコ町をつないで公共的課題について対話する本授業を通して,子どもたちは国際交流の現状を知るとともに,多様な立場の人々の思いに耳を傾けながら課題を考える姿勢を育みました。


北海道DCCの展開に向けて
本実践では,北海道教育大学釧路校の玉井慎也講師が授業全体を進行し,同校の学生が各教室の学習支援や機器操作を担うなど,大学と学校が連携した体制が構築されました。人口減少の著しい北海道内におけるDCCの実践基盤が着実に整いつつあります。また,本事業はこれまでの東広島市中心の展開にとどまらず,道内複数地域を結ぶ形で実施されました。地域を越えた対話の場が広がることで,北海道におけるDCCの自律的な展開が期待されます。
授業実施者:玉井慎也
授業補助者:各小学校での授業担当教員
学校技術支援担当(北海道内小学校):新田絢香,石澤大季,草原和博,大戸玲穂,長岡宜秀,三井成宗
事務局機器担当①(広島大学):宇ノ木啓太,神田颯
事務局機器担当②(釧路市立清明小学校):大嶋和希
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!





