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概要
2026年4月23日,北海道内小学校9校11学級(苫前町立古丹別小学校,釧路市立清明小学校,利尻町立沓形小学校,仙法志小学校,奥尻町立青苗小学校,奥尻町立奥尻小学校,伊達市立伊達小学校,大滝徳舜瞥学校,礼文町立香深井小学校)の3・4年生186名と,安芸高田市立向原小学校の4年生17名が参加し,遠隔授業を実施しました。参加校は,北海道の東西南北に広く分布しており,子どもたちは各地の地域的特色を持ち寄りながら学習に取り組みました。
今回の授業のテーマは,「広げてみよう,市から道へ-あなたは今のカントリーサインになっとく?-」。子どもたちは,市町村のカントリーサインを手がかりに,北海道の自然,産業,歴史・文化などの地域的特色を調べました。さらに,現在のカントリーサインが地域の特色を的確に表しているかを考え,より多くの人が納得できるカントリーサインの代替案を構想しました。


導入:各地のカントリーサインを紹介!
授業は,乗り物に関する3つのカントリーサイン(以下,CS)を題材にした○×クイズから始まりました。答え合わせと解説は,北海道開発局のCS担当の圓子さんが担当しました。子どもたちは,砕氷船とカニが描かれた紋別市,新幹線が描かれた北斗市,飛行機が描かれた千歳市のCSを見ながら,CSにはそれぞれの地域の自然,産業,交通などの特色が表されていることを確認しました。
続いて,参加校の子どもたちは,CSを使って「まち紹介」を行いました。他校の紹介を通して,子どもたちは,CSがそれぞれの地域の歴史や自然,文化を表していることをつかみました。
釧路市:幣舞橋と四季の銅像,雄阿寒岳,マリモ,ふきなど,2005年に合併した3つのまちにゆかりのあるもの
伊達市:伊達氏にゆかりのあるかぶと,温暖で雪が少ない土地で育つ柿,豊かな土地を生み出す有珠山
奥尻町:島の形を中心に,賽の河原,宮津弁天,鍋釣岩,北追岬など,町内の名所
苫前町:過去に大きな被害をもたらした熊と,町の木であるナナカマド
利尻町:利尻昆布やふれあい温泉など,町を代表する7つのもの
礼文町:礼文町にしかない高山植物のアツモリソウや,町内の多くの岩
ここで,子どもたちに「今のCSは,自分たちのまちの特色をよく表しているか」と問いかけました。多くの子どもたちは○を示しましたが,一部には×を示す子どももいました。古丹別小からは,「自分たちのまちで頑張って作っているメロンを載せたらいいのではないか」という意見が出されました。また,清明小では,「釧路川や人気の夕陽を入れた方がよい」「昔採れていた石炭を載せてもよい」など,現在のCSに加えたい要素について多様な意見が出されました。
このように,CSは地域の特色を表している一方で,今のまちの姿や子どもたちが大切にしたいものを十分に表しきれていない場合もあります。そこで,本時のめあて「今のCSは,地域の特色をうまく表しているか? どういうCSだったらみんなが納得できるか?」が提示されました。


展開1:カントリーサインを徹底調査!
授業の前半では,CSの調査を通して,北海道の地域的特色を読み取りました。
まず,北海道開発局の圓子さんに,CSを変えることはできるのかを尋ねました。圓子さんは,子どもたちの予想に反して,「CSは変えることができます」と説明しました。ただし,CSを変えるためには,「まちに住んでいる人たちから変えたいという意見があること」「みんなでまちにふさわしいデザインをつくること」が大切であること,また,CSは道路で使われる標識であるため,歩行者や運転者にとって分かりやすいことも重要であると話しました。
続いて,実際にCSの変更を進めている北広島市の若澤さんからお話を聞きました。北広島市では,広島町から北広島市になって30年を迎えることをきっかけに,新しいCSの作成を検討しているそうです。若澤さんは,北広島市をPRできるようなCSをつくりたいと考えており,市民からデザインを募集していることを紹介しました。子どもたちは,CSは一度決まったら変えられないものではなく,地域の人々の思いや判断によって見直すことができるものだと知りました。
ここで,草原先生は「CSを見ると,本当に地域の特色が分かるかな? 徹底調査してみよう!」と呼びかけました。各学級は,北海道内のCSを「牛・馬」「野菜・果物」「スキー・スケート」の3つのグループに分けた分布図を読み取りました。CSの分布図に透明の地域区分図を重ねると,北海道のどの地域に,どのような自然や産業に関わるCSが多いのかが見えてきます。
子どもたちは,CSの分布から地域的特色を予想したうえで,北海道の山地,気温,降水量を示す地図と比較し,自分たちの予想を確かめました。具体的には,牛や馬,野菜や果物,スキーやスケートが描かれたCSの広がりを手がかりに,地域の気候や産業との関係を考え,「●●のカントリーサインは,とくに■■に多いです。だからそこは,★★なところだと予想します」という文章をつくりました。この活動を通して,子どもたちは,CSが単なる標識ではなく,北海道の地域的特色を読み取るための資料にもなることを学びました。




展開2:カントリーサインの代替案を提案する
授業の後半では,自分たちのまちのCSを見直し,より的確に地域の特色を表すCSの代替案を考えました。各学級では,現在のCSに描かれているもののうち「残したいもの」と,新しく加えたい自然,産業,歴史・文化などについて話し合いました。そして,話し合いの結果を踏まえ,生成AIを活用して新しいCS案を作成しました。例えば,苫前町の子どもたちは,「熊は有名だから残す」「最近有名なメロンを加える」「観光客に来てもらえるよう景色のよい海や風車を加える」という案を出しました。このように,子どもたちは,単に好きなものを描くのではなく,「なぜそれを残すのか」「なぜ新しく入れる必要があるのか」を考えながら,地域の特色をより的確に表すCSを構想しました。




終結:各学級が提案したカントリーサインの鑑賞会!
授業の最後には,他の学級が作ったCSの鑑賞会を実施し,良いと思ったCSを紹介し合いました。仙法志小の子どもたちは,「清明小の作ったCSの夕陽がきれいでよかった」と感想を述べました。また,伊達小の子どもたちは,「古丹別小のCSは熊がかわいくて,有名なメロンがのっていていい」と言いました。このように,子どもたちは他の学級がつくったCSの鑑賞を通して,地域によって大切にしている特色が異なることに気づきました。
最後に,CS担当の圓子さんは,「どのまちも地域の特色や名物など,愛情のこもったCSになっていてとても良かった」と講評しました。草原先生は,「北海道には地域によって『似た』ところと『ちがう』ところがある」「CSにはその地域らしさがよく表れているし,もっと今の姿を表せるよう見直してほしい」と述べて,授業を閉じました。


複数の地域表象に触れる
今回の授業では,CSを通して北海道の特色を概観することができました。また,自分たちの地域のCSを考えるだけでなく,他の学校が作成したCS案を鑑賞することで,北海道各地の多様な地域の特色にも触れることができました。さらにCSを通して,「地域の特色を知る」だけでなく,「地域をどう表すかを考える」ことができました。
引き続きNICEプロジェクトでは,地域を越えて子どもたちが学び合い,デジタル公共圏をつくりだす授業を提案してまいります。
授業実施者:草原和博
授業補助者:各小学校での授業担当教員
学校技術支援担当(北海道内小学校):川本吉太郎,宇ノ木啓太,山瀬美結,山口藍,廣岡咲彩,寺沢菜花
事務局機器担当(苫前町立古丹別小学校):草原聡美
協力:国土交通省 北海道開発局 建設部 道路維持課(出演:圓子大雄様),北広島市役所企画部広報課(出演:若澤路子様)
「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトメンバーである三井・川本・宇ノ木・神田が更新しています! ぜひ、本記事を読んだ感想や疑問・コメントをお寄せください!
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